太くて硬いスキー板を探して試乗会へ

太くて硬い、変な意味ではなくてオールマウンテンな板で、尚且メタルプレート入りのものという意味です。具体的にはセンター幅100mm前後、重量では2kg前後というところです。
色々乗ってきたので備忘録がてら書いておきます。
この記事では乗った板について述べたいと思いますが、そもそも何がしたくて探してるのかです。今自分が想定している使いたい状況は悪雪を楽しむというものです。普通雪面ガタガタの悪雪は滑っても板が取られたりしてあまり楽しいってことはないです。それを大きくて強い板で突破すれば楽しいんじゃない?みたいな考えです。あくまでこのシチュエーション内で乗ったら楽しいかなーを想像して書いてるということはご承知おきして下さい。
あ、それと私は別にプロでもすごいスキーヤーでもないただのおっさんです。偉そうに書いてますがご容赦下さい。
試乗
今回の試乗会では雨が降っている日もあってそれなりに荒れた斜面になっていました。会場の関係もあって初中級の圧雪バーンで試しています。コース脇のちょっと荒れたところでも試してます。
小中大ターン、ピボット、ちょっとスピード出す、はだいたい全部の板でやるようにしました。
SALOMON QST98
https://www.salomon.com/ja-jp/shop-apac/product/qst-98-lg5318.html#color=66158

全体にメタルが入ってるわけではなく、中央部だけというパターンのものです。このカテゴリにあってかなりの変わり種。センター部にはキャンバーがついているのですが、そこがかなり短くなっている。なので接雪面の距離が見た目以上に短いです。下の写真を見るとわかると思いますが、前後共にロッカー部がとても長い。それに合わせてカービングの膨らみも独特な形状に。

乗ってみた感想ですが、センター部にはしっかり硬さを感じます。しかし全体的にはやはり柔らかめという印象です。ロングターンで飛ばしていくと、接雪面の短さ故だとは思いますがどっしりとした安定感はありません。しかし意外というか、正直もっと不安定な-フルロッカーに近い雰囲気なのかと思ったらそうではなく、短い接雪面で安定させようという意図が感じられるような、そんな板でした。今回はパウダーエリアでは乗れてないのでなんとも言えないのですが、ロッカー部分の大きさと柔らかさからいってパウダーへの対応力は高そう。固まった荒れたバーンとなるとさすがに少ししんどい。そこまで硬い板でもないのでピボットはしやすく、ツリーランなんかにもいいかもしれないなーと感じました。
なので変わり種なのですが、ゲレンデのどんなコンディションにもある程度対応してくるオールラウンダーだと思います。
Volkl M6 MANTRA(177cm)
https://volkl.com/ja-jp/p/m6-mantra-2023

今回お目当てだった1つ。ほぼ全体(トップだけはカーボンなんだと思う)にプレートが二枚入っている超強い板。そして持ってみるとずっしりくる重さ。今回乗った中で一番のヘヴィ級に感じました。
聞いた話では、海外では長く愛される大人気シリーズなのだそうです。
で、乗ってみた感想です。硬い!強い!ちょっとの荒れた部分、溝なんかパワーに任せてガン無視で滑れます。アイスバーンでも全然いけそう。まさに探していたような板でした。トーションが強くエッジがしっかり入ります。フレックスも今回のった中では最強クラス。RADIUSは177cmで18mとそこそこ大きいのですが、3D RADIUSなる技術が搭載されているらしい。HPの説明読んだ限り、要するに低速では小回りが効き、速度が乗ってくると大回りの板になるようだ。事前に知ってはいて、ちょっと眉唾かなと思っていたんですがそんなことはなく、小回りもしっかり出来て好印象でした。フロントのロッカー部分はちょっとパタパタしていた。しかしガチガチでも段差とかパウダーみたいなところには突き刺さってよろしくないでしょうから、これでいいのだろうと思います。そもそも板の他の部分はどっしりしているので全く気にならない。
ただ、本当に強い板なので乗る側もそれなりにパワーが必要と感じました。体重80kgくらいあれば楽に乗れるのかもしれません。私は67kgなので、そこそこしっかり圧かけると良いな、という具合でした。基礎板とかレース板にがっつり乗ってた人がオールマウンテン使い始めるっていうのにも良さそうです。
強くて芸が細かい、海外で長く愛されているのも納得の一本でした。
Volkl KENDO 88(170cm)
https://volkl.com/ja-jp/p/kendo-88-2023
写真取り忘れましたが、Mantraを青くしたやつ。THE・基礎板みたいなオールマウンテン板です。上記MANTRAの姉妹機です。基礎板をちょっと太くしてテールも伸ばしましたというような形をしています。センター88というのもあって、エッジがしっかり入ります。だいたいMANTRAと同じですが、より基礎っぽくて不整地性能はそこまでいらないかな、みたいな人にいいと思います。
LINE BLADE
https://lineskis.com/ja-jp/p/blade

LINE関係は写真取り忘れたので公式からお借りしてます。すみません…(問題あったら消します)。
今私の持ってる板の1つがLINEのSAKANAです。SAKANAは柔らかい板なのですが、これの硬い版があればいいなぁなんて妄想していたところBLADEを見つけてもしや?と思って乗った一台です。結論を言えばSAKANAとは全く違った板です。
BLADEのメタルは大きく肉抜きされた独特のものが入っています。そしてセンター部でメタルは別れているのだそう。トーションはそこそこ強く、フレックスはかなり柔らかい印象でした。結果として、板を立てる時の強さは感じる、たわみ始めるとすぐセンターまで行って小さいRがそのまま効くみたいな板でした。
でもってRadiusがめちゃめちゃきついです。SL板もびっくりレベル。なので大回り、中回りしようと思っても難しいです。ただ小回りはすごい。SAKANAはあの奇抜な形をしていてオールラウンダーさが凄いのですが、こっちは見た目以上に実際の奇抜さがすごい。
K2 MINDBENDER99ti(172cm) & LINE BLADE OPTIC96(177cm)
http://www.k2japan.com/catalog/21_22_K2%20SKI.pdf
https://lineskis.com/ja-jp/p/blade-optic-96


2つ並べて書きます。というのも似た雰囲気があるから。
この2つはオールマイティ感がありました。メタルは入ってるんですが、どちらも柔らかいです。キャンバーの返りもそこまで強くなく優しいタイプです。そこは共通なのですが、全く違う感触があります。MINDBENDERは板の長さ通りの接雪面の長さを感じ、癖がないです。一方BLADE OPTICの方はセンター部付近で乗るような感触です。これはブースの人も言ってたのでそういう味付けなんでしょう。なので正真正銘オールマイティはMINDBENDER、クルクル回りたい人はBLADE OPTICといった感じです。両者メタルは入ってるモデルなんですが、かといってメタルだから〜ということは考えなくていいかなとも思いました。軽くてしっかりめのオールマウンテンでした。
FACTION DANCER2(Center:96, 177cm)


MANTRAに続き今回の目的に合致する板その2です。ずっしり重いですが、MANTRAよりは優しいです。
これまたとてもコントローラブルで、小回り〜大回りなんでもできます。そしてデコボコして固まったところでかっ飛ばしても板の安定感がすごく全く怖さがありません。これに乗った時は午後でコース脇が荒らされそのまま固まってきた時間帯でした。そういうところでも強い板でした。
トーションもフレックスも強いのですが、私の体格と技量でも使えてるなー感をくれる懐の深い板でした。
あとFACTION系の板全般に言えることですが、デザインがおしゃれです。モノトーンとロゴ配置が洗練されてて所有欲をくすぐられます。滑りに関係ないとは言え、持ってて嬉しいとテンションも上がるってもので、その点では滑りに関係するといえるのでは(?)。
NORDICA ENFORCER 100(179cm)
https://www.nordica.com/japan/ja/men/skis/all-mountain/enforcer/enforcer-100-flat


これダイスキイイィィィィィ!!!!キエエエエエ
はい。まず板の構造ですが、メタル二枚が全体に入っているそうです。MANTRA、DANCERと同じ系統かと思います。ここらへんの板は比較を後述しますので割愛します。
Radiusは17.3(179cm)と似たコンセプトの板の中では僅かながら小さめ。だからなのか、板が回りやすかったです。これもまた小中大、全てのターンがこなせます。そしてキャンバーの返りも絶妙にあります。なのでターンをして跳ね返りでギュンギュンする気持ちが良い感覚が味わえます。もちろん板の強さ・重さを使って雪面の細々したデコボコはぶち抜けます。フレックスもトーションも強いには強いのですが、思い切り踏み込まないとだめかというとそうではない塩梅もいいです。踏んでいくと滑らかに板が動いていく感じがします。
ENFORCERにはセンター94と88もあります。94も乗りましたが、こちらはもっとピステンに寄せた感じ。そのまんまですね。ただ、シェイプも全体的に細身になります。なのでパウダーの日にありがちな、リフト始動30分後には食い散らかされたバーンが残ってるような状況でも使うなら100ではないでしょうか。すごく個人的な主観ですが、100の方がセンターのたわみは若干出てしまうのですが嫌な感じはせず、それもいい塩梅に感じました。
それと、今回乗ってはいないのですが、兄弟機のような存在でUNLEASHEDというのがあります。こちらはツインチップ。試乗会では他のお客さんで来てる人とも雑談したりってこともあるんですが、こちらも評判はよさそうでした。うーむ、乗ってみたい。NORDICAの方が言うには、滑り重視・飛ばしていく人にはENFORCER、色々な遊びをやって楽しむならUNLEASHEDということでした。今回の私の目的でいうならENFORCERだね、と教えてもらいました。
NORDICAは今までご縁がなかったのですが、一気に好きになりました。これからも注目していきたいところ。
あまりにこの板が楽しくてブースではしゃいじゃいました。対応していただいたスタッフさん、ありがとうございました。
BRIZZARD RUSTLER10
https://www.blizzard-tecnica.com/jp/ja/skis/men/freeride/rustler-10-flat

これまた写真撮り忘れ…すみません。
BRIZZARDのRUSTLER(読みはラスラーです)は事前にネットで調べてた限りかなりよさそうだったので注目の1つでした。ちなみにBRIZZARDとNORDICAは同じグループだそう。ブースも同じでした。とはいってもこの2つは開発ラインが違うということなので、別々に考えてよさそう。
RUSTLERもまた180cmで2020gとヘヴィな板です。ただこちらはキャンバーがあるにはありますが、かなりフラットです。実は試乗会二回行ってるんですが、一回目の方でRUSTLERに乗ろうと思ってブースに行った時、私がキャンバー付きがいいってなことを言っててENFORCERを教えてもらいました。その時はENFORCERがなかったので二回行った、みたいな経緯が実はあります。
そんなわけでRUSTLERとENFORCERは結構な違いがありました。RUSTLERは回しやすく、モコモコしたところでより真価を発揮しそうだ、という印象でした。強いて言えば先述したMINDBENDERとBLADE OPTICの関係に似てます。
パウダー系の板だと柔らかめをよく見かけますが、こういう板もあるのが面白いです。雪が積もっている時に試してみたいなぁと思いながら滑ってました。
今回目的に合ってそうな3機種
今回乗った中で、目的に合致すると思ったのは次の3機種でした。
Volkl MANTRA
FACTION DANCER2
NORDICA ENFORCER
全てキャンバーがしっかりめに付いてます。そして重量も2kgくらい。悪雪をものともしない雰囲気を漂わせています。
正直、この3つの優劣はないです(そもそもどんな板も悪いところはなくて、乗り手が好むかどうかだと思います)。
フレックスの強さ順で言えばMANTRA、ENFORCER、DANCERの順だと思います。ただENFORCERとDANCERは似ていました。MANTRAは強さ、さらに言えばずっしりとした感も強く感じました。
ENFORCERとDANCERは本当に似てるなというのが正直なところです。少しだけDANCERの方がゆったり気味、ENFORCERがガシガシいける系という感じはします。
スペックを調べると、
DANCER2(177) R:18m 質量:1820g
ENFORCER(179) R:17.3m 質量:2190g
今思い返しても、このスペックの違い通りだなぁという印象です。
ちなみにMANTRAは177cmでR:18 質量:2070gだそうです。
あとがき
実は少し前まで試乗会ってものを知りませんでした。昨シーズンいって以来、試乗会が大好きでよく行きます。私程度でも乗り比べると違いって意外と感じられるものです。各メーカーの人に相談もできるし、板のコンセプトも教えてもらえるのがいいです。
記事書いといてなんなんですが、実際のとこ自分が乗ってどう感じるかが全てだと思うので、スキー板欲しいなぁという人は試乗会に足を運ぶのが一番ではないかと思います。
試乗会いって物欲刺激されようぜ。